「おめでとうv」


その言葉が僕の全てだった。






× 君のその言葉 ×





「おーい、吉良ァ」


「あ、阿散井君」




今日はいつもと同じで


いつもと違う日



そう僕、吉良イヅルの誕生日。







僕は小さな期待を抱いて阿散井君の方を向いた










「ホラ、お前の分の書類」


「え、ああ…どうも有り難う……」




え…これだけ?


プレゼントとか無いの!?





「んじゃァ」


「あ、うん…またね」




えーーー!?

ちょっと、ひょっとして忘れてる!?

阿散井君…何十年の付き合いだと思ってんだよ!!





















「はァ…」


阿散井君にまで誕生日忘れられるなんて……






僕は気がつけば、昔修行していた場所へ足を運んでいた。




「懐かしいなァ…」


昔は此処で阿散井君と雛森君と修行してたっけ……








つい斬魄刀で跡を付けたあの木の下にやって来ていた。







「わァ…この木全く変わってないなァ……」




懐かしげに浸っていた僕に誰かが声を掛けて来た。






「あれ、珍しい!こんなところに人がいるなんて…!!」



「…き、君は…!?」



目の前に居たのは、お下げの女の子だった。






「あ、私は。この辺で修行してたのv」


と名乗るその少女は斬魄刀を片手に僕に手を出してきた。



「ぼ、僕は吉良イヅル……宜しく…」


「宜しくw」



軽く握手を交わした。







「吉良君は此処で何してるの?」


その少女、が唐突に聞いてきた。





「えーと…散歩かな?」


「ふぅん…散歩ねェ……」




何かジロジロ見られて変な感じがする…







「吉良君って此処で修行してたの?」


「え、うん…。って何で分かるの!?」


「なーんとなく。なんか懐かしそうな顔してたからv」


「へ、へェ…凄いな……」





こんな些細な会話でも僕の落ち込んでいる気持ちを少しずつ前向きにする



時が過ぎるごとに


ここで彼女と会えて良かった…と思うようになっていた




















「ねェ、吉良君はいつも此処で散歩してないのに何で今日来たの?」


「え、ああ…ちょっと…落ち込んだ事があって……」


「そっかー。何があったの?」




「んと……」




誕生日忘れられたなんて…気恥ずかしい…な……










「た、誕生日…忘れられてて…なんか…此処に来たって言うか……」


「そうなんだー。今日が誕生日なの?」



「あ、うん…そう」



「ふーん……」






やっぱり莫迦にされてるんだろうか……


…うーん……














「おめでとうv」





「え……」






どうしてだろう


この瞬間



僕の中で何かが起こる



何かの感情が湧き上げてくる




どうしよう




嬉しい





普通の数倍嬉しい






誰にも言って貰えなかった言葉だから








どうしよう










嬉しい










その"おめでとう"と言う言葉は僕の全てだった











「吉良君…?」


「あ……」


「どうしたの?」


「う、うん…なんでも……」



「?」




「あ、ありがとう…v」



「えへへv」





あの言葉は僕の全てで



僕の求めていたものだった



本当にありがとう




君に言われたこの言葉だから




僕は幸せなんだ










fin...




誕生日よりちょっと遅れてしまった;;(汗)

イヅルおめでとう!!vv

やっぱりオチとか難しいです…。

オチ考えて書かないと駄目ですね;(苦笑)


これは期間限定のフリー夢です。

フリー配布の期間が終了し次第お持ち帰りは止めて下さい。





06.3.31