ラ イ バ ル 。 


バル




「ん……で、何だよ?」

「…………」


俺犬塚キバは今日、日向ネジに呼び出された。

こんな人も居ない裏口に連れて来やがって何のつもりだァ?



「キバ……」

「な、なんだよ……」


するとネジは行き成り俺に頭を下げた。




「頼む!!にこのチケット渡してくれっ!!」

「はぁ???」


見るとネジの手には遊園地の入場チケットがあった。



「な、なんで俺が渡さなきゃいけねぇんだよっ……」

「頼む!お前と仲がいいだろっ?なっ、頼む…!!」

「自分で渡せよ……」


なんで俺がネジなんかの為にチケット渡さなきゃいけねぇんだよ。



「…俺…の事が好きなんだ…っ」

「はっ…はぁぁああああああああああああ??!!」



ちょっ…っちょっ……ちょっと待てェェェェエエエエエエエ!!!

ネジが!?あのネジが!?

の事を………好きぃぃぃ???!!!

まっ…マジかよ……。




俺だっての事好きなのに……っ



ど、どうする俺ェェェェーーーー!!!!!






「んっ…あぁぁ…わ、分かったよ……」

「……本当か!?」

「あぁ…まっ…任せとけって…!」

「有り難なっ感謝するぞ…っ」

「いやぁ…それほどでも……」





俺の馬鹿ぁぁぁぁぁあああああああーーー!!!



なんて馬鹿なんだ俺は!!!


ライバルを手助けしてしまったじゃねェかぁぁぁあああああ!!!





犬塚キバ一生の不覚ッッッ









帰り道。
「……どうしたのキバ君?」

「あ、あのさ…その……」



チケット渡さねぇとっ…


あーもー…くそッ……


渡しづらいぜ……ッ




「こ、コレ……」

「あぁw遊園地のチケットだぁw…コレどうしたの?」

「ひゅ…日向ネジって奴知ってんだろ?アイツがに…って…」

「…ネジ君が?…ふーん……そっか。ネジ君が私に……v」




な、なんだよ…凄ぇ嬉しそうな顔しやがって……

そんなに嬉しいのかよ……ッ




「…キバ君は……行かないの?」

「え…ふぁ?はぁっ…?…お、俺ェ?」

「うん。キバ君は行かないの??」

「お、俺は………」



行てェよォォォ!!

行ってネジの邪魔してェェェ!!!

それで、と2人で遊びてェよォォォォォ!!!



でも…ネジが……

どうしてもって俺に頼んで来たんだ……

俺が居たら……

ネジは……



その事を思うと「行きたい」だなんて言えなかった。






「俺は…行かねぇよ……」

「遊園地とか嫌いなの?」

「嫌いじゃねェ……」

「じゃあ、なんで?」

「それは………」

「?」

「……家の用事があって………」

「そ、そうなんだぁ……それなら仕方ないね………」





の顔が少し寂し気に見えたのは

気のせいだろうか?








俺は、その表情が気になって一晩眠れなかったんだ。




















3日後、ネジとが遊園地へ行く日がやって来た。


「ワンッ!!」

「お、おはよう…赤丸…」


赤丸の頭を撫でながら時計を見た。



あぁ…もう8時か……

時計の針は8時を指していた。



寝過ごした……

いつもなら5時には起きているはずなのに……




「ワンワン!!」

「あぁ…分かったよ…っ……待てってば、オイッ…待てってっっ」


赤丸は俺のズボンの裾を引っ張り「早く散歩へ行こう」と言っている。

俺が起きるのを待ってたから散歩が待ちきれないんだろうな……



「ちょっ…赤丸ッ…待てってばっ…俺まだ着替えてなっ…オイィッ…!」



赤丸に引っ張られ俺は慌てながら階段を下りる。

そして何時ものように勢い良くドアを開けた。




「いってきまぁぁすっっ……!!」


「キバぁー!帰りにトマトと玉ねぎを買って来なさーいッ!!」



家を出た瞬間、今にも閉まりそうなドアの隙間から母ちゃんの声がした。



オイオイ、俺の自腹かよッッ!!

帰ったらぜってぇ金を返して貰うからなッ!!



そう思い俺は、赤丸と散歩に行った。




















「ひゃっほぅぅ!!風が気持ちイイぜぇぇwww」

「ワンワンッvv」


何時ものように散歩をする俺と赤丸。



この一時だけは、ネジとの事を忘れられる。


もう少し、もう少しだけ……忘れさせてくれ…ッ






「ワンワンッ!!」

「ん?赤丸?何だよ…?」

「ワンワンワンッ!!」

「は?何時もと違う場所に散歩に行きたいって?…しょうがねぇなぁ…っ」

「ワンワンw」

「うぉいっ…赤丸っっ!?」



珍しい…赤丸が散歩のコースを変えたいだなんて……

一体何処に行く気なんだ?








「ワンワンッ!!」

「こ、此処って……」


此処は……


「……遊園地……」

「ワン!!」

「あ…赤丸……お前…っ」

「ワン!!」

「そうか…俺が遊園地の事気にしてたから…だから…お前…ッ」

「ワンワン!!」


本当…

本当に赤丸は良い奴(犬)だ……

飼い主思いの…

最高の犬だッッ!!














「あ、ネジとだ……」

遊園地に入ると運良くネジとを発見した。

2人は仲良さげに観覧車の前に並んでいた。




か、観覧車って言ったら……


アレ…だよな?


って事はつまり……




た、た、た、た、た、た、た、大変だぁぁぁああああああああ!!!








「観覧車混んでるね……」

「嗚呼。そうだな……」

「ネジ君、待ってるの疲れない?」

「平気だ。は?」

「うん、平気っ。後どれ位待つのかなぁ……」



ネジとの楽しそう(?)な会話が聞こえた。

随分と時間が掛かるらしい……

2人が観覧車に乗るまでに何とかしなければ……っ













……とか思ったものの……


何も出来ねぇよぉぉおおおッッ!!



ってか、後少しで2人の番だしッッ!!









「…あ。次だね…v」

「そうだな…っ」




ヤベェェェェー!!!




犬塚キバぁピーーーーーンチッッッ!!!









こうなったら……






「うっひゃっ…!?あれっ…ネジとじゃん。」


わ、わざとらしいな俺……




「あれ?キバ君だっw」

「……キバ………」

「よォ!何してんだぁ?」

「何してるって…キバ君…知ってるでしょ?」


俺の馬鹿ッッ


「あ、そうだったなっ。」


わざとらしいよ…俺……


「何しに来たんだ……?」

「えっ…っと……その………」




ヤベッ…どうするんだよ俺ッ!!


邪魔しに来ましたーv…なんて言えるかよッ!!




「?」

「あの…その……」

「………キバ、ちょっと良いか?」

「ん…え?あぁ…良いぜ?」




一体なんなんだ?


まさか……



「よくも邪魔してくれたなぁぁぁ!!!」

とか…!?(汗)


ネジに限ってそんな事は……


無い…と思いたい……






「キバ……」

「な、なんだよ…?」

「お前…ひょっとして……の事……」

「ち、違ッ…違ぇよッ…俺別に…の事なんて好きじゃねぇ…ッッ」

「そうか…。好きなのか……」

「………っ………」



バ、バレちまった……

俺…この後どうなるんだぁ…?






「なんで黙ってたんだ?」

「なんでって…それは……」

「俺に気を遣ってたのか……?」

「いやっ…別にそんなつもりじゃ……」

「…………」



き、気まずい……






するとネジは右手を差し出した。




「…ネジ…?」

「これからは、変な気を遣わず正々堂々と戦え」

「ネジ……」



そうか。

ライバルなら堂々と戦え、か。

ネジらしいな……




「お、おうッ!!これからは全力で勝負だッ!!」

「嗚呼。俺は負けない!!」

「俺だって負けねぇよッッ!!」



俺は力強くネジの右手を握ったんだ。

正真正銘のライバルとして。



正々堂々と戦う事を誓った。









ー!!」

「あ、キバ君とネジ君っ!もぅ、観覧車の順番抜かされちゃったよォー…!!」

「悪いな。キバと少し話しをしててな。」

「ふーん。何の話ししてたの?v」


それを聞かれて、俺とネジは顔を見合わせた。





「 「 秘 密 だ っ 」 」





多分、がそれを知るのは


俺とネジの勝負に決着がついた時なんだ。





「えー。つまんなーいっ……」

「いいから、いいからwさ、観覧車乗ろうぜっw」

「あ、コラッ!まてキバッッ!!抜け駆けは卑怯だぞッ!!」

「あははははははっw」

「コラーーーーッ!!!!」




この恋に決着はつくのか。



今かなーーーーり、心配な俺なのでした。









fin...



キバとネジの逆ハーもどき(オイ)完成w
随分久し振りの夢なので緊張(謎)です。
キバは書いてると楽しいんですよねvv(何)
なんかギャグっぽくなってしまいました…スミマセン。


この作品は、晴菜様宛キリリク作品です。
如何だったでしょうか?
気に入って頂けると嬉しいです。




この作品は、晴菜様のみお持ち帰り可能です。
キリ番14000おめでとう御座いましたw




05.10.22